前回に引き続き、フィルマーの内海直紀くんが登場です。
前回の様子→「Talk out -内海直紀 vol.1-」
I: JSBA(日本スノーボード協会)の全日本スロープスタイルで優勝して、これからってときの練習中に怪我しちゃったわけだけど、そこからすぐにフィルマーとして気持ちを切り替えられた?ライダーとして第一線に復帰する気はなかったの?
U: もちろん復帰する気できちんとリハビリもして山に返ってきたんですけど、そこで怪我をするきっかけになったダブルコーク(頭が2度下に入る斜めの軸で回転する技)にどうしてももう一度挑戦できなくて...それで自分の中でこれからライダーとしてはもう戦っていけないって感じて、当時タイミングよくいろんな出会いもあってフィルマーの道を選びました。もともと撮ったりするのは好きでしたからね。
I: ライダーとしては今もムラサキスポーツに所属してるんだよね?
U: はい、一応。幽霊ライダーですけど…笑
I: いやいや、何言ってるの、じゃあ今度レール対決しようよ。
U: タスクさんとですか?良いですよ、僕ジブに関しては上手くなってるんで!タスクさんが無茶してやられてどんどん傷んでいく映像撮りますね笑
I: 撮影しながら滑る時間なんてあるの?
U: そうですね、合間見つけて。滑りたいと思った時は、撮影終わった後の夕方15分とか、リフト2本だけとか笑。まあ滑りたいなって気持ちは年々少なくはなってきてるんですけど、普通にオフの日とかはパーク行ってジャンプしたりしてます。
I: 滑りたい気持ちが減ったってよりは、他にやらなきゃいけない事が増えたんじゃないの?
U: それももちろん、今は撮影だったりとか編集の方がやりたい気持ちが多くて。
I: ライダーとして滑っていた時とは優先順位が変わってきたのかな?
U: スノーボードでお金をつくるのはとても大変ってことを思い知ったというか…でもお金を稼がなきゃいけないから。自分にとってはこの仕事が今は天職だと思ってやってます。こんなに良いことは無いってよく思います笑。
今でも上手くなっているという、切れ味抜群のJIB
I: どういう事?編集が好きって事?
U: 楽しいんですよ。多分今同じフィルマーとしてやってる人はみんなそうだと思いますけど。
I: 映像の仕事が好きで大変なことも苦にならないんだ?
U: 辛いことそんなに無いですかね、雨の撮影で機材が壊れる心配するくらいで。
I: だって撮影のための日差しとか天候待ちで半日めっちゃ寒い中待機とか、1日撮影したけど結局使えそうな映像は無かったとか、普通なんでしょ?
U: 全然気にならないですね笑
I: マジか…笑
I: 何気ないアングルひとつにしてもカット割りっていうか、構図とか見やすさとかすごい考えられてるなあって思うんだけど、どんな工夫してるの?
U: 外人のライダー達と動く機会があって、僕がその時ズームをうまく使えなかったんですけど、そしたらライダー達がトリックの後に僕のところに映像を確認しに来ることが段々無くなって...すごい悲しい思いをしたんですよ。
I: 海外のクルーと日本で撮影したときのこと?
U: そうです、メインでやってる撮り方も熟知してる海外のフィルマーがいて、僕はサブカメラマンとして入ってたんですけど、その時はまだすごい引きの映像(遠くからの取った映像)しか撮れなくて、なんの面白みもない映像なんですよ。それで撮影して行く中で、ライダー達がトリックをメイクして喜びながら僕の横を素通りして、遠くにいるメインのフィルマーのところに映像を確認しに行くんです。この人たちのレベルに自分が合ってないんだなって。その経験から今度はカメラマン目線でいろんなスノーボードの映像を見まくりましたね。
I: 今見せてくれた映像も、場所やアイテム、トリックによって映える構図を考えつつカメラ動かしながら、ズームで距離調整しつつライダー追うわけだよね?もちろん、失敗は許されない状況で、そのプレッシャー考えられないんだけど!おまけに撮影シーンによって使うレンズや撮影機器も違うわけでしょ?
U: 今流行のGoProみたいに画角が広いレンズで決まった場所から撮るときは、ライダーの大きさが自分との距離によって変わらないようにカメラの位置を近づけたり離したりして調整したりもしますね。でも海外のクルーのレベルの標準ですからね、このくらいできるようにならないと。
I: これからの目標みたいなのはある?
U: スノーボードの目標としては、情熱あふれる子どもたちの環境が少しでも良くなるような映像を撮りたいなぁって思ってます。今でもそういう子どもたちのためなら損得抜きで、なんとかしてあげたいっていう想いがありますね。その映像をきっかけにスポンサーがついたりとか、海外の大会に出ることができたりとか。
I: うまくて人間的にも優しい子どもいっぱいいるもんね、最近。
U: 僕だけの個人的な目標でいえば、お金を稼ぎたいですね。そんなにガツガツしてないですけど。自分の両親を超えたいっなっていうのはあります。私生活も大切にしつつ金銭的にもしっかり稼いでいきたいと思ってます。