石崎(以下I): 今日本の雑誌に出てるライダーって実はだいぶ前からあんまり変わってないように見えるんですよ、例えば布施忠くんだったり国母カズだったり。もちろん世代の移り変わりはあるんでしょうけど。タカトくんはどう思いますか?
谷口尊人(以下T): オレはスノーボード雑誌を否定する訳じゃないけど、結局この人と仕事したら絶対楽だなぁっていうのが(雑誌にも)あるじゃん?こいつ前も仕事頼んだし知り合いだし、またこいつに別な仕事振ろうかな、みたいなやり方で今のスノーボード雑誌が出来上がっちゃってるんじゃない?仕事頼んだらきっちりこなしてくれるなっていうのって、結局ベテランだったりとか大御所とかの経験が長い人の方がラクなわけじゃん?
I: 簡単に欲しい結果を返してくれる見込みがあるって事ですか?
T: そうそう、多分そういう流れがある程度できちゃってるんだと思う。オレはそういう流れは危ないなぁと思ってる。新しい人材が発掘出来ないじゃん。要は雑誌社が勝負してないと思う、誌面を作る上で。まあ勝負する必要は無いのかもしれないけど、個人的にはもっと大会の結果をもっと重く見て欲しいなぁと思ってる。PSAとかなんかの大会で1番になった人をもっとフューチャーしてあげるべきだと思う、スポンサー関係無く。この人はこの大会で優勝したから、この雑誌に出れるんですよっていう雑誌の作り方が昔はスタンダードだったと思うんだよ。そういう軸があったから、メーカーサイドもその人をスポンサーしたら宣伝効果があるっていう流れを作れてたの。でも今は、その雑誌に広告を沢山出してるメーカーのライダーを優先的に出しちゃってるから、ライダーの価値がすごく下がってる。
I: 難しい問題ですね、ライダーの価値ってとこまでいくと。
T: 難しいけど、その軸を辞めちゃったから売れなくなっちゃったんだと思うよ、だってつまんないじゃん、いつも同じ人が出てても。プロ目指す意味がないじゃん。
T: インターネットが凄くなってきたから本が売れなくなってきたって言っても、売れてる本も中にはあるわけじゃん。じゃあどうしたら買ってまで欲しい本にするかって言うのをもっと考えなきゃいけないよね。
I: 今は特に情報に対する敷居が高くなってますもんね。お金を出してまで欲しい情報っていうのはハードルが高いっていうか、難しくなってるとは感じますね。僕若い頃買ったのって写真いっぱい載ってるフォトイシュー位でしたし…
T: でもそういうのはプロとか業界の人は欲しがるけど、逆に一般の層にはあまり売れない訳でしょ?それで両方カバーしようとすると中途半端なものが出来たりしちゃう。そこをどうストイックにターゲットを定めてやっていけるかなんじゃない?これからは。
I: 家にいても自分で得たい情報や物品が簡単にインターネットで探せるのが当たり前になりましたね。新しい付加価値がメディアにもショップにも必要になってきたんでしょうかね。例えばこのお店に行けば職場と違うコミュニティがあるとか。
T: まあ1番は情報だよね。例えばお金持ちになる方法ってネットで検索しても、ろくな情報出てこないでしょ?
I: 詐欺ですね、詐欺笑
T: でも、実際にお金を簡単に儲けてる人はいっぱいいる訳でしょ?じゃあ何でその情報が出回らないかっていったら、そんな簡単に儲かる方法教える訳無いからっていう話なんだよね。じゃあスノーボードもそんな簡単に上手くなる方法タダで教える訳無いじゃん。だから今でも思いっきりオーリーするとか書くわけでしょ?いやいや、オレ、高く飛ぶためにオーリーしてませんけど、みたいなことたくさんあるじゃん。
I: 意識的にオーリーする事最近あまり無いですね。
T: そういう古い情報を信じてやる人もいるからさ。2016年オーリー問題。オーリーすれば高く飛べますよって言うけど、ダブルコークとかトリプルコークでオーリーしてる人見たこと無いし。
I: 意識してオーリーするのって、ハイオーリーコンテストとか、段差またぐ時とか、高いジブアイテムに入る時位ですね、自分も。スケートボードのオーリーの動作=スノーボードの踏み切り動作じゃ無いですよね。スノーボード足に板くっついてますし、板も反発力ありますし、昔よりパークアイテムの形も変わってますもんね。
T: だってそれでもハウトーとか見てもオレの10年前くらいの知識以下みたいな事もよく見るよ。まあオレはいいと思うよ、だってライバルが増えないから(笑)。オレがお店で教えてることが貴重じゃなくなっちゃうし。